議員になって最初に取り組んだのは町内公共交通機関の抜本的見直し。見直しにすべて含まれるとは言え、特に喫緊の課題である2つを加えて3つのテーマを持って取り組んでいます。

  1. 町内公共交通機関の抜本的見直し
  2. 西地区に居住する軽井沢中学生が下校する際のバス利便性向上
  3. 茂沢に居住する軽井沢中学生が登下校する際の公共交通機関の整備

これらの内、

「2.西地区に居住する軽井沢中学生が下校する際のバス利便性向上」は令和5年度に実現しました。

「3.茂沢に居住する軽井沢中学生が登下校する際の公共交通機関の整備」は令和4年度に実現しました。

町内公共交通機関の抜本的見直し

「空気を運ぶバス」。乗客が誰も乗車していない状態を見かけることも多い町内循環バスを揶揄したものですが、一方でバスの時刻表が通学のニーズと合致しておらず不便が生じていした。加えて、免許を返納したり配偶者との死別により自動車免許を所持していない高齢者世帯、公共交通機関がない茂沢地区の子どもの通学が不便といった問題も存在します。

このような問題を最大のコストパフォーマンスで解決するために私が提唱するのは次の施策です。

  • 施策1:デマンド交通(ニーズに合わせて運行する乗り合い交通機関:車両は主としてライトバンを想定)の導入。
    • 効率的な運行のために、例えば町内の端から端、追分から軽井沢駅まで一本でつなぐといった運行はせず、西地区、中軽井沢地区、峠町・旧軽井沢・新軽井沢を含む東部、南軽井沢の4つのゾーン(分け方は実証実験を経て検討)に分けて運行。ゾーンとゾーンの間はしなの鉄道または隣のゾーンのデマンド車両を乗り継ぐ。
  • 施策2:町内循環バスの減便と通学主眼のバスを導入
    • 令和5年度の町内循環バス運行委託費は8,700万円。この上でデマンド交通を運営する財政負担を考慮し、「一日の平均乗車人数の合計が4.5人に達しない」などの条件を検討して減便対象を選び、減便で満たせなくなった移動ニーズはデマンド交通に任せる。
    • 通学は最大30分というルールを作り、通学に主眼をおいたバス便が必要。
    • 乗降数の実態を調べるために、私は町内の一年間のすべての路線と停留所ごとの乗降者数を記したデータをバス運行会社より取り寄せて、調査しました。データは紙データで、停留所ごとの乗降数は町も集計していない状況であったので、軽井沢中学校のPTA仲間と共に膨大な枚数の紙のデータから乗降数を数えてエクセルで集計しました。流石に365日分は作業が膨大過ぎて断念し、各月から1週間を抜き出しての集計でした。

下に示す図は、上述した町内すべての循環バス停留所の乗降客数を数えて集計したもののごく一部。

軽井沢町町内循環バス停留所ごとの乗降客数

上図の詳細 >> 町内循環バスの利用状況調査結果を踏まえた福本の所感

上記には減便案も示しました。

  • 施策3:しなの鉄道軽井沢駅と信濃追分駅の往復運行→20分に1本の運行が可能に

しなの鉄道を町内移動手段に活用することは交通渋滞緩和にも役立ちます。しかし、2023年度から減便が発表されています。軽井沢駅と信濃追分駅間を往復運行すれば、現状30-60分に一本の運行を20分に一本程度の運行が可能となります。1時間待つかもしれないとなれば鉄道を町内以上手段として検討するのは困難ですが、最大20分の待ち時間ならば現実的です。この往復運行を実現するためにはプログラムや信号、退避路線の設置などお金がかかる課題がありますが、町が出資してでも実行する価値があると考えます。

各駅のハブとしての機能を強化することで、次のような利点があります。

  • 交通渋滞緩和
  • 交通事業者のビジネス拡大
  • 駅周辺の飲食、小売業のビジネス拡大
  • 町内の回遊性を高めることで軽井沢の文化体験(ハイキング、名所訪問等)機会が増大

この調査の為に、デマンド交通の先進地である鳥取県西伯郡伯耆町(写真は伯耆町役場で撮影したもの)の視察、町内交通事業者やデマンド交通システム提供会社、しなの鉄道管理職職員からの聞き取り調査を実施しました。

西地区に居住する軽井沢中学生が下校する際のバス利便性向上

4年もかかってしまいましたが、公約にも掲げたこの問題解決は令和5年度に実現しました。

令和5年度より16時台の西コース、また15時台の北廻り線のバス便が設定されます。

問題解決の為に、上述の「施策2:町内循環バスの減便」および「町内循環バスの利用状況調査結果を踏まえた所感」に記した、町内全ての循環バス停留所の乗降者数を膨大な紙データから起こして集計しました。

この問題は、次に集約されていました。

バス通学の多い借宿の一部、三ツ石、ならびに追分の子どもたちがバスで下校を試みると適切なバス便がないという問題。部活に所属していない生徒の場合、週の4回は下校時刻が16時10分ですが、軽井沢病院を発車するのは17時20 分と一時間程度の待ち時間です。部活動後の下校時刻は17時15分、17時45分、18時15分の3種類があり、下校に利用できるバスは17時20分、または18時49分に同病院を発車する便です。17時15分下校時には17時20分の便に乗り遅れることがしばしば発生しますが、その場合の待ち時間は1時間半程度になってしまいます。また17時45分下校時は1時間程度の待ち時間となります。このような状況は生徒に保障されてしかるべき勉強時間を奪い、著しい不便が生じています。またバスを長時間子どもを待たせることがしのびないことから、保護者が来るまで迎えに行くことが状態化していてその負担は小さくありません。

一般質問の他、当時私も現役の軽井沢中学校PTAの一員でしたが、軽井沢中学校PTAが町に行った請願の紹介議員としても取り組みました。請願の結果は趣旨採択となり、関係部署に請願内容が通達されたのも問題解決に結びついてものと考えております。議会に請願の趣旨説明を行ったPTA役員の皆さま、お疲れさまでした。結果につながって良かったです。

茂沢に居住する軽井沢中学生が登下校する際の公共交通機関の整備

この問題解決は令和4年度に実現しました。

令和4年度より通学用のタクシーが用意されるようになりました。往路は茂沢から信濃追分駅、復路は信濃追分駅から茂沢。

本件は茂沢の西保育園、西部小、軽井沢中学校PTAの方々から茂沢公民館でお話を聞いた後、一般質問の他に軽井沢中学校PTAが町に行った請願の紹介議員としても取り組みました。請願の結果は趣旨採択となり、関係部署に請願内容が通達されたもの問題解決に結びついてものと考えております。

問題点は次のようなものでした。

2022 年度、茂沢から軽井沢中学校には4人が通学する見込みですが、茂沢には公共交通がなく通学には自転車か保護者等による送迎が必須の状態が続いています。通学路は急勾配な坂道を避けることができず自転車通学が困難であることに加えて、路面凍結もある冬季は自転車では大変危険で保護者等が送迎をせざるを得ず、負担は小さくありません。

このような状況は交通政策基本法の基本理念として第二条で掲げられた「国民の自立した日常生活及び社会生活の確保」がなされていない状態であります。よって「基本理念にのっとり、交通に関し社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と交通政策基本法第九条(地方公共団体の責務)に記載された公共団体の責務の履行を求め、下記事項を請願いたします。

>> 請願内容全文

このような公共交通の問題は、議員個人としての活動の他に、当時公共交通を所管する社会常任委員会に所属しておりましたので、委員会の研究テーマ(所管事務調査)として定め、令和3年3月17日に公共交通対策に関する提言書として当時の藤巻町長に手渡しています。