令和4年1月24日、軽井沢駅さわやかハットにて地上デジタル放送波を活用した情報伝達手段の実証実験が行われました。今回はデジタルサイネージ(テレビのモニタなどに情報を発信するメディアの総称です)が主題で、駅など人の集まる場所のモニタに、災害時に防災情報を表示することを想定しての実験です。以下、この実験について記します。

本実証実験の目的:

  1. 公共施設の放送設備と連動して、防災情報をデジタルサイネージで再送信し、情報伝達ができることの検証
  2. 不特定多数が集う場所における表示する情報、タイミングの検討

実証実験の内容と結果

  1.  一般のテレビで、一般のテレビ放送を表示した状態の確認
  2. 一般のテレビ放送から防災情報表示画面への切り替え
  3. オペレーターが表示内容を任意に変更。
  4.  最後に、防災情報から一般のテレビ放送に切り替えを試みたが失敗。原因は、アンテナからテレビに直結して同軸ケーブルが配線されていたこと。この配線では防災情報からテレビに戻すことはできない。アンテナから録画機等に配線され、当該録画機等からHDMIケーブルでテレビに配線された状態であれば切り替えはできるはずとのこと。

補足 – 情報伝達の流れ

オペレータのパソコンから実験機のテレビまでの情報伝達の流れは以下

オペレータのパソコン

クラウド上のシステム(受信した情報を適切なテレビ局に割り振る。今回の一連の実証実験用に配備)

テレビ信州のシステム

実験機のテレビ

補足 – オペレーターが操作するパソコンから防災情報等を送信する方法

防災情報等の送信は、オペレーターがパソコンにて、インターネットを介して送信する。。実験ではコマンド・ラインにて操作していたが、ブラウザの画面からのフォームを利用しても送信可能。コマンドを送信していたのはブラウザ経由よりも早いからとのこと。

会場内ネットワークを経由した参加者所有のスマートフォンへの情報の配信実験

会場に用意されたサーバから小出力のWi-Fi電波を流した。用意されたQRコードをスマートフォンのカメラ(QRコードリーダーアプリを経由してではなく、デフォルトのカメラアプリを使用して読み取る)で読み取ると会場のサーバが作ったネットワークにアクセスすることができ、テレビに写されたものと同じ情報を手元のスマートフォンでも見ることができた。

補足 – この方式では動画は配信できない

統括

本実証実験は円滑に進み、本実証実験の目的を果たした。

会場内ネットワークを経由した参加者所有のスマートフォンへの情報の配信は今までその存在を知らなかったシステムであり、仮にインターネットがダウンした状態になった場合には被災者等への情報伝達手段として威力を発揮するであろう。

懸念もある。オペレーター(実動の際は町の担当者)が送信する表示内容に関する情報は、途中、前述のクラウド、テレビ信州のシステム、そして実験機のテレビと、すべてインターネットを経由する。大規模災害においてインターネット網がダウンした場合には、この防災情報伝達手段は機能しなくなる。衛星を使い、地上のネットワークに依存しないインターネット網は自治体向けの割当があるという。衛星利用の防災情報伝達手段については今後実証実験の予定があるというので期待したい。プラス、インターネット網よりも災害時の耐久性が高いとされる地上電話の回線を使って今回の実証実験と同じ結果を偉える防災情報伝達手段につても研究が必要だろう。