エネルギー価格高騰対策生活応援給付金:10,000円/人
2022年9月15日、軽井沢町議会9月定例会が散開しました。
皆さまの生活に直結する議案としては、エネルギー価格高騰対策生活応援給付金として町民一人当たり10,000円、またタクシーバス会社に支援を行う予算を可決しました。
安倍晋三元首相の国葬中止を求める意見書について
このところ、どこどこの地方議会で「国葬中止を求める意見書可決」といったヘッドラインが地方新聞の一面などを飾ることがありますが、当町でも同様の意見書、「安倍晋三元首相の国葬中止を求める意見書」の提出について発議されました。提出者は寺田和佳子議員で賛成者は赤井信夫議員、木内徹議員、利根川泰三議員、中澤睦夫議員。採択の結果可決されれば関係機関に当該意見書が送付されることとなります。今回の場合、提出先は衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣。
私は、この意見書の提出に反対する討論を行いました。採決の結果、この発議は賛成5、反対9で否決されました。報道される世論調査結果では過半数が国葬中止を支持している現状ではありましたが、自分の考えを主張した上で発議に反対しました。詳細は後段「福本の反対討論の趣旨」を御覧ください。町民の方からは「けしからん」とお叱りを受けるかとも思いましたが、案に反して趣旨に同感だという励ましを当日の内にいくつかいただき、意を強くしました。ありがとうございます。
福本の反対討論の趣旨
(実際の発言とは語尾など、若干違いがあります)
私は今回提出された「安倍晋三元首相国葬中止を求める意見書」の提出に反対いたします。その理由は、次の2点であります。
反対する1つ目の理由は、この意見書の重要な部分が「意見」ではなく、「状況を解説」した内容を骨子としており、当議会の意見として提出するには適切ではないと考えるからであります。
意見書の冒頭には
- 国葬を執り行うという閣議決定が法的根拠を欠く
- 多額の国家予算を投じること
- 国葬を決定する民主主義的過程をふまなかった
という趣旨が記されています。が、これらは、自らの意見として記されているのではなく、「このような議論がされています」と、世論を解説しているに過ぎません。国葬儀を執り行うという閣議決定に対する法的根拠の有無を自ら判断した上での意見ではなく、世の中にそのような議論があると指摘するに留まる意見書は、当議会の提出する意見としては適切ではないと考えます。
また意見書には「国葬」を「国葬儀」とすることの問題点として「国葬ではないから、強制するものにはならず、従って国民の思想・信条の自由は守られていると強弁しています」と記されています。この意見は「国葬儀」では国民の思想・信条の自由は守られないという意味にも理解できますが、今回の国葬儀においては一般国民に弔意の強要をはじめ、国民の権利を侵害することは含まれていませんから、国民の思想・信条の自由は守られており、この点を取り上げての意見書の提出は適切ではないと判断いたします。
加えて「国葬の性質が払拭できるのでしょうか」との言及がありますが、意見書がいう「国葬の性質」が何を意味するのか不明確であり、やはり、当議会の意見としては適切ではありません。
意見書の三段落目には「世論調査で日ごとに国葬に反対の声が高まっている」という趣旨の記述があります。ただ、世論には報道が影響を与えるものであり、最近の国葬儀を巡る議論には故安倍晋三元首相の功績についての言及があまりに少ないということを指摘します。国葬儀にネガティブな材料ばかりが報道されていることは、国葬儀反対の世論が高まる要因のひとつでありましょう。
むろん、軽井沢町議会議員として町民の皆さまの意見は何よりも大切なものです。そこで考えるのは軽井沢町民の皆さまの意見は、全国的に行われている世論調査の結果と一致しているのかということです。
当町は観光立町として、アベノミクスによって恩恵を受けた自治体です。
国葬儀が適切か否かを判断する上で故安倍晋三元首相の功績を振り返ります。またこの多くの功績が「安倍晋三元首相の国葬中止を求める意見書」の提出に私が反対する2つ目の理由であります。
第二次安倍政権発足時、日経平均株価は約1万100円でしたが、退任をした令和2年9月16日には約23000円と、倍以上を記録しています。景気の回復に伴い当町を訪れる観光客数も増加を続けました。第二次安倍政権が発足する前の5年間、軽井沢町を訪れる観光客の数は760万人から780万人と増減を繰り返しながらの横ばいでした。ところが、安倍政権発足後の平成30年度には870万人と約100万人増加するに至りました。観光業およびその関連事業にかかわることが多い当町町民には活発な経済活動という実りがもたらされたはずです。年金積立金の自主運営に伴う累積収益額は、12月まで野田政権であった平成24年度は25兆2000億円余りでしたが、9月まで安倍政権であった令和2年度には95兆3000億円あまりと大幅に増加し、有効求人倍率も0.8倍程度から最大で1.6倍程度に至りました。当時学生であった当町出身者には、この恩恵に浴した方も多いことでしょう。
外国人観光客数についていえば、観光立国を成長戦略の柱にした安倍政権下、観光庁の発表では平成23年には約622万人であった訪日外客数は、安倍政権下で伸び、平成30年には約3100万人と、2400万人以上増加しました。この多くは、当町も訪れて消費をしたことでしょう。
私は安倍晋三元首相国葬儀は、内閣が持つ裁量の範囲内として実施可能であると考えます。
安倍晋三元首相には桜を見る会や森友・加計学園問題などの不祥事や疑惑がありましたが、それでもなお功績は多であると考えます。多大な功績のあった人物に弔意を表すことは、自然な行為でしょう。
最近の国葬儀を巡る議論では故安倍晋三元首相の功績についての言及があまりに少なく、世論に影響を与えている感を否めません。加えてこの意見書には前述のような不適切な箇所が見られます。特に、意見書の重要な骨子が自らの意見ではなく、評論家のように世論の説明でしかないことは、軽井沢町議会の意見としては不適当であります。
以上のような理由から「安倍晋三元首相の国葬中止を求める意見書」の提出に反対いたします。