「イマージョン教育」。耳慣れない方も多いと思いますので、まずは「イマージョン教育」とは何かを説明します。“イマージョン:immersion”とは“浸すこと”を意味する英語。外国語を身につけるために、外国語だけに“浸す”かのごとく環境に学習者を置くことで、外国語を自然と習得していくという教育方法です。

当町におけるイマージョン教育は平成28年4月より軽井沢中学校にて体育の授業で導入されました。講師は日本語が堪能なイギリス人で、英国サッカー協会の指導資格を持つ方。教員免許を保持していないため、非常勤特別講師として体育を担当しました。

イマージョン教育の一環としての体育の授業。期待されていたのは、すべての授業を英語で行うこと。しかしながら、日本語が堪能なのが仇となったのか、授業は基本的に日本語で行われました。私の息子は平成31年4月より軽井沢中学校で学びましたが、体育の授業について聞くと英語で授業を行っているという認識はありませんでした。「ちょっとした掛け声くらいは英語だけど、基本的にはすべて日本語での授業だよ」というのが息子の答え。イマージョン教育で期待される英語漬けの環境には程遠い実態がありました。

軽井沢中学校におけるイマージョン教育が想定通りに行われていない問題は、平成29年の予算決算常任委員会にて同僚議員が議事録に残る発言では始めて指摘しています。しかし、その後も改善はみられずに平成31年軽中入学の息子の時代も3年間改善されない状態が続きました。

私は令和4年3月の予算決算常任委員会にてこの問題を指摘。同年9月、私も委員を務める予算決算常任委員会の補正予算審査報告書にて次の文言が盛り込まれるに至りました。

イマージョン教育の導入から一定期間が経過したが、当初掲げた効果が得られているとは言い難い状況である。事業の意図をALTの派遣元や任用した職員と十分に共有し、日常の中に英語がある環境を早期につくっていく必要がある。導入目的が学校現場においてどの程度達成されているのか、状況を確認し、必要に応じて修正を加えていくべきである。

その後、令和5年3月、当町のイマージョン教育を抜本的に改善する予算が可決されるという成果を出すことができました。

新しいイマージョン教育は、新たに小学校(予算650万円)での音楽の授業も加わり、中学校(予算650万円)では音楽または体育で実施されるということです。今後、しっかりとしたイマージョン教育が実施されるのか、チェックして参ります。

余談:イージョン教育 – 私の経験

イマージョン教育の有用性が高いということは、私自身が実感しています。私の英語力はネイティブには程遠いお粗末なものですが、それでも社会人になってからはカリフォルニアの学校にて英語で授業を行っていた程度(もっとも、前日に翌日話す内容を練習していました)には話すことができます。しかし学生時代英語は一番の苦手科目で、ハワイ大学付属のESL(留学生が大学で学ぶ英語を習得する事を主たる目的とした英語を学習するクラス:English as a second languageの略)クラスで学び始めたときは、授業の最初から最後まで講師が何を言っているのか全く分からないという日々が続きました。ところが、寮のルームメイトもアメリカ人、意識的に友達もアメリカ人と付き合うようにといった文字通り“イマージョン”教育を実践した結果、一ヶ月を過ぎた頃、最初から最後まで何をいっているのかさっぱりと分からなかった講師の発言が、突然、全て理解できるようになったのです。繰り返しですが、少しずつわかるようになったのではなく、ある日突然、全てが聞き取れるようになったのです。全くびっくりな体験でした。