町村議会選挙では、しばしば「無投票での当選が決まった」という報道を目にする。近隣では2019年の小諸市議選もそうであったし、昨日(令和2年3月24日)告示された上伊那郡の宮田村議選でも定数と同じ12人が立候補し、無投票で当選が決まった。

議員のなり手不足は深刻で、軽井沢町議会でもその解決に向けて研究をしている。最近では2019年10月、件(くだん)の宮田村で開催された「第5回町村議会改革シンポジウム長野 in みやだ」などで県内の町村議会議員が集まり、実情の情報交換や問題点などを話し合っている。

軽井沢町議会で主催している「議会とまちづくりを語る会」で町民の皆さまから寄せられる意見には、立候補者が少ないなら「定数を減らせば良い」という意見や、給料が安いことが原因だと分析し、「定数を減らして給料を上げれば良い」という意見がある。この点について考えたい。

定数を減らして給料を上げれば議員のなり手不足は解決するのか?

「定数を減らして給料を上げれば議員のなり手不足は解決するのか?」この意見は、一見するともっともに思える。しかしながら、定数を減らせば定数以上の立候補者が現れるかというと、必ずしもそうではない。

例えば当町とほぼ同じ人口の下諏訪町議会では、平成3年の選挙までは定数が20人、以後平成7,11,15年の選挙では定数が18人、平成19,23,27,令和元年では13人が定数だった。資料がある範囲で言えば、定数が20であった昭和62年、平成3年には定数以上の立候補者がおり、選挙となっている。ところが、定数を18人に減らして臨んだ平成7,11,15年の選挙では無投票当選が2回、定数を13に減らした平成19,23,27年令和元年の選挙4回では50%にあたる2回が無投票当選であった。

定数20人の時代の資料が少ないから単純には比較できないものの、20人の定数から35%も減らして13人にしてもなり手不足が解消されていない実態が現れている。つまり、定数を減らせばなり手不足が解決するという訳ではない、ということができよう。

報酬の推移は調査が行き届いていないが、下諏訪町議員の年間報酬は現状400万円を超えており、長野県の町村議員報酬としては高い方である。

定数削減の問題点

私はこれ以上定数を減らすことに反対だ。その理由は主にふたつある。ひとつは多様な民意の汲み上げが困難になるという理由。もうひとつは、議員それぞれに得意分野があり、全体をカバーする補完関係を維持するにはある程度の人数が必要であるという理由だ。

民意の汲み上げ

町議会議員は町民には身近な存在だと思う。町内や区のイベントにはよく出席をして皆さまと話す機会が多く、その際にはいろいろなご要望を伺う。皆さまの困ったことは解決する必要があり、議会活動に反映させることができる。

人数が少なくなれば、この機能が低下する。

議員各人の得意分野で問題解決方法を補完している

議員それぞれには今までのバックグラウンド、職業経験があり、得意分野がある。私については言えば、職業はICT関係で、サラリーマンを経て過去20年間小さな会社を経営してきた中ではサービスの合理化は日々の問題だし、海外子会社(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)の立ち上げも行った。また公立中学に通う中学生の親という子育て世代でもある。子が小学生の時代にはPTA会長としての活動で教育問題に携わった。これらの経験によって、ICT、子育て・教育、6次産業化を含むビジネスの問題には素養があり、行政執行部よりもある面では経験や知識があり、議会活動で活きている。ところが、医療や福祉、土木、防災、農業、林業などは門外漢であったから、議員になった時点で人より詳しい知識を持っていなかった。もちろん勉強中だが、それでもフルタイムでこれらの問題に日々向き合っている町職員の皆さんに包括的な知識では及ぶものではない。しかし、蛇の道は蛇というか、現在議長を除き14人いる同僚議員を見回せば、私が暗い分野のエキスパートが揃っている。医療に強い議員、防災に詳しい議員などなど。つまり、現在の定数16(一人欠員)の中で、各人の得意分野で問題解決方法を補完しているということができる。定数をこれ以上減らしてしまえば、この補完関係が維持できる保証はない。

議員のやりがいが立候補のモチベーション

私が町議会議員に立候補をしたのは、やりがいを感じたからである。おそらく、同僚議員たちも同様であろう。議員のなり手不足解消は難しい問題だが、立候補のモチベーションとなる「やりがい」を証明することで、多くの立候補者がでるように努力したい。